ミックスジュースが大阪の喫茶店やレストランで流行した昭和。
お店で果物と牛乳をミキサーで混ぜ、お客様に提供するのが当たり前だった。
しかし、“果物を切る”か“缶詰めをあけたり”、ミキサーを洗ったりと手間がかかる。
手間を省くため、ミキサーを使わずにミックスジュースを作れないかと匠はシロップを考案する。
そうはいってもただ省くだけでは面白くない。
ミキサーで作るものよりも美味しく、忘れられない味にしようと幾度となく試行錯誤を重ねた。
時代は昭和から平成へと移り変わる。
試行錯誤の末、これならいけるという味と質にできたミックスシロップを商品化し業務用として喫茶店などの飲食店様に販売を開始。
匠は喫茶店に売り込みに行くが
「うちのミックスがまずいって言うのか」
「シロップなんて邪道や」などと言われ、なかなか採用してくださる店はない。
視点を変え居酒屋に売り込みに行った。
初めは居酒屋でミックスなんて売れるはずがないと断られるが、ミキサーを使わず時短できるにも関わらず、お客様からの「うまい」という評価を得ることができ、その店の人気商品となり注文が増える。
しかし、ここで問題が発生する。
弊社独自の製法でひと手間も二手間もかけることにより『うまさ』を引き出しているので大量生産ができない。
どこかの作業を抜いたり簡易化することで生産性は増すが、味が劣ってしまう。
味に妥協はしたくない。
「味に妥協はできない」「大量生産はできない」とできない尽くしとなってしまった。
時代は令和。
できない尽くしの中、
匠の孫にあたる私が森井食品に参加することになる。
私は10代からミックスシロップを飲んでいたのでミックスジュースはこれが基本でした。
市販されているフルーツオレや喫茶店でミックスジュースを飲んで
「なんか違うな」
と感じていました。
先述のように業務用として大量生産するのが難しくなった後、
私は高校の時以来、会社に関わるようになりました。
祖父が生み出した『こんなに美味しいもの』を衰退させるのは馬鹿みたいだと感じたからです。
ミックスシロップに時間を使おうと考えました。
しかし、時間という限りあるものを賭けるにはリスクがあります。
それだけの魅力がないと賭けるに値しません。
一般販売するにあたり、ただ「ミキサーを使わず牛乳で割るだけ」というだけではインパクトに欠けると思いました。
「一番じゃないとやる意味がない」
そこで、喫茶店やジューススタンド、果物屋など様々なミックスジュースを飲みまくりました。
もちろん全てのミックスジュースを飲んだわけではありませんし、私の個人的な意見ですが、これならいけると思いました。
製造企画者ではないので、第三者目線でミックスシロップを厳しく判断しました。
自分で一番と思えない商品を広めたくないし、広まらないと思ったからです。
そして、自分の舌だけではなく客観的な意見も聞こうと気を使わない友人に率直な意見を求めました。
サンプルで持参したMJを飲み干した後
「これいくら?買いたい。」
と言う声や
元々ミックスジュースの味が嫌いで飲みたくなかった友人も
「これは違う!」
と美味しく飲んでくれました。
自分の感覚は間違ってなかった。
そう確信しました。
王冠をあけてふわっと漂うフルーティーな香り、果肉たっぷりなのでグラスにどろっと注がれる。
グラスを傾けそっとミルクを注げば、おしゃれなセパレートドリンクに!
MJシロップとミルクをミックスし口に運べば、やみつきに!
鼻で風味を、目で色合いを、口で果肉感を、舌で旨さを
感覚をフルに使いMJシロップを楽しんで頂ければと思います。